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過去の本日メモ こちらは短いけれど更新頻度が高い日記

#2003年10月24日(金)
マンガとアニメの表現の狭間で

プラネテスがアニメ化された。マンガ版とアニメ版では、設定もキャラの造形も性格づけもかなり違う。それ自体に対しては私は文句がない。まあ、マンガ版のタナベとハチマキの、大きなタナベと小男のハチマキという対比が失われたのは確かに惜しいけれど。三巻になって少しばかり内面的な描写ばかりが多くなってしまったマンガ版を危惧しているので、もっと実際的な宇宙開発現場での主人公たちの苦闘を描いてくれるといいな、と思っていたのである。

しかしながら、アニメ版第三話はさすがにちょっと…と思ってしまった。

「愛がありませんよ!」と叫んで、常識から逸脱した行動を取るのはアニメ版もマンガ版も同じである。セリフもほとんど変えてなかった。それなのに、何故、こうもアニメ版からは不快な印象しかうけないのだろう。
キャラ設定が違い、また、動かない絵と動く絵、文字で読むこととセリフとして音で聞くことの違い、アニメのほうがより奇矯さが目立つということは確かだ。

それに付け加える意味で、アニメ版とマンガ版での構造の違いがあげられるのではないだろうか?

マンガ版は、主人公はハチマキと最初から決定されている。従って、大体において物語はハチマキの視点で語られる。デブリ屋という現状をよしとせず、深宇宙の恐怖と孤独の意味をしりつつも何処までも宇宙を進むことに憧れる若造の、行き詰まった心象風景の世界だ。

その中での、タナベの無茶苦茶な行動である。
タナベの無茶苦茶さは、宇宙に魅せられた人間が情緒を失っていくことを止めるブレーキだ。行き詰まったハチマキの世界の破壊者として、タナベは現れる。破壊者でもあり救済者でもある彼女をハチマキはすぐには素直に受け入れることができないにしろ、自分とは違う視座に不意打ちをくらうことになる。
奇矯な行動もセリフも、一種のカンフルのようなものだ、と言える。

それに対して、アニメ版はダブル主人公としてタナベとハチマキが登場する。従って、その両方にモメントがおかれたることになり、時に視点はタナベに移る。タナベ視点でのハチマキは大きな組織の中で、ある程度職業人として一本立ちはしている「わからずやの先輩」だ。だから胸が苦しくなるような焦りと憧れとに引き裂かれた苛立ちはなかなか伝わりにくくなってしまう。

そして、視点がタナベなので、タナベ自身が世界の破壊者として機能をしないのだ。世界が行き詰まっていない。ハチマキはすでに「答え」を知っている状態にある。タナベのいうところの「愛」は、ハチマキの心に届くはずもない。
ただ自分の「思い」、自分の信念ばかりを押しつける人間が、たまさかの幸運によってその未熟な行動が「間違っていなかった」とされる話になってしまうのだ。

もちろん、彼女の行動は、最後に大量の事務仕事に追われることになるというオチで、ただの甘い話になるところを幾分か救われるわけだが…。

それにしても、そこにいたる過程においての、遺言状と生命保険の勧誘さわぎは、「明日をも死んでいてもおかしくない仕事」としての緊張感を描くのには、逆効果だったんじゃないだろうか。タナベがハチマキの遺言状を見たあげく、「こんなのいけませんよぉ」と叫ぶ無神経さは、どうにもいただけないのだ。キャラ設定に未熟なだけじゃなくて無神経が加わったら無敵だ。後の行動の不快さが倍加する。

ま、まだまだ始まったばかりのアニメだし、これからいろいろと面白い展開になるかもしれないので、期待がなくなったわけじゃないし、これからも見続けるけれど。
同じ物語でも、こうも印象が違ってしまうことがあり得るわけで。原作付きのアニメってのは、ホント大変かもしれない。

アニメもマンガもできるならば、「宇宙開発」というものが現実に沿った世界、「夢」ではなく「理想」を掲げられる世界を描ききってくれることを、願うばかりだ。「理想」はそれに向かうものの灯台の役割をするが、「夢」は時として人の心を殺す。それは科学の分野においても言える。


#2003年10月10日(金)
オルフェノクタンゴ


舞台暗転

場面
静寂。やがて、遠くのほうで水音が聞こえる。誰かが閉め忘れた水道から漏れる水音。
規則的なその音がやがて、人のささやきに聞こえてくる…。

スポットライトがあたり、アナウンサーが登場。

(アナウンサー)
さあ、皆様、お待ちかねの、4人のオルフェノクのみなさんによるタンゴをお送りします。

ささやきは、やがて歌になっていく。

ホース!
クレイン!
スネーク!
ウルフ!

They had it coming(あいつらのせいよ)
They had it cominng(あいつらのせいよ)
自業自得よ。
もし、あんたがその場にいたなら、
もし、あんたもそれを見たら

きっとあんたも同じことをしたに決まっている!

木場 勇治(馬)
目覚めてみたら、なにもかもが変わっていたんだ。
親戚のおじさんは、僕が死んだと思って、財産を処分しているし。
従兄弟のヤツは僕の彼女に言い寄っているし。
大切な彼女に手をだすなんて、ひどい従兄弟じゃないか。
彼は生きていちゃいけないよ。もう人間じゃない。
そしたら、彼女は僕のことを疑っているんだ。僕が従兄弟を殺したんじゃないかって。
刑事さんにに僕のことを、人殺しなんです、捕まえて下さいって。
だから僕は、彼女に身の潔白を証明しようとしたんだ。
ほら、こんな姿になったけれど、僕のこころは何も変わっちゃいないって。
悪辣な従兄弟は殺されてもあたりまえだったんだって…。
でも、彼女は僕の剣にむかって倒れ込んできたんだ。僕の剣に向かって、10回も…。

長田 結花(鶴)
みんな私のこと、いじめるんです。
その日だって、みんなが私を体育館に呼び出して…。
バスケットをやっているふりをして、私をいじめるんです。
私の大切な、たったひとつのソックスをぼろぼろにしたんです。
もう、かわりなんて買って貰えそうにないし。こんな格好じゃ、メル友のけいたろうさんにも会えない。
だから、私、言ったんです。もう、やめてって。もう、いじめないで、って。
だって、私、もうオルフェノクになっちゃっているし…。もう人間じゃないし。綺麗な羽根だってあるんですよ。
だから、ちょっとだけ、みんなを脅かそうって思ったんです。
正体をあらわせば、きっとみんな思い直してくれるって…。
………………
気が付いたら、私はひとりでした。
その後、みんな灰になっちゃったそうです。きっと私をいじめた罰があたったんだと思います。

海堂 直也(蛇)
あー、その、オレ様、見ちゃったんだわ。見たくもねえのによ。なんつーか、その殺人現場ってヤツ?
で、そいつが逆ギレしてこのオレ様に、襲いかかってきたんだわ。夜の公園でよ。
さえねえオヤジだったわ。
ちょいとひねってやったら、そいつ倒れやがってよ。
ま、あれじゃ、死んだかな。仕方ないよな。
ちゅーか、これって、正当防衛ってヤツ?。
ちゅーか、これでオレ様、ただの人でないことが証明されてラッキーみたいな。
ま、もともとオレ様天才だし。

乾 巧(狼)
なにもおぼえてねーんだから、仕方ないだろ。
あー、ちょっと興味あってさ、オルフェノクになってみたんだ。
なんかキャンプ場にいったところまでは覚えってかな。
それから、人がたくさんいたみたいで。そういや、悲鳴とかしてたかな。
でもよ、なにもおぼえてねーってばよ。うるせーな。ほっとけや。
オレのせいじゃないよ。あれからオルフェノクにはなっちゃいねえよ。
おまえには関係ねーだろ。


(全員で)
They had it coming(あいつらのせいさ)
Thei had it cominng(あいつらのせいさ)
自業自得さ。

もしあんたがその場にいたなら、
もし、あんたがオルフェノクなら

きっとあんたも同じことをしたに決まっている。


場面
全員で歌い踊る。
踊ったのち、人間体からオルフェノク体へ変身。

暗転


映画「シカゴ」のサントラを聴いていたら、こういうものができてしまいました。
なかなか陰惨な話ですな>ファイズ。無実の罪を着ている人がいないじゃん。
問題は、何人「シカゴ」(セルブロックタンゴ)と「ファイズ」の鑑賞者が重なるか?ってところだよな。