3日目 オルセー美術館 Musee d'Orsay

下界に降りても震える足をなだめつつ、今度はオルセー美術館へと。

オルセー美術館はルーブルとセーヌ川をはさんで対岸の場所にある。
オルセー美術館は、昔駅だったものを美術館に改装したとかで、ヨーロッパの鉄道駅を模した建物になっている。建物の上部の大きな時計をシンボルらしい。

ルーブルと並ぶパリ市内での有名美術館だ。ルーブルが巨大で古今東西の美術品を取りそろえているのに比較して、オルセーのほうは印象派以降の作品が中心である。

小さいといっても、それはルーブルとの比較の問題で、中を一通り見回るには、それなりの時間と体力が必要である。

オルセー美術館外観


内部の吹き抜け。
駅のプラットフォームのようだ

中に入ると、巨大な吹き抜け。鉄道のプラットホームを模した半透明のガラスの天井から柔らかな光が差し込んでいる。そこに無数の彫刻や絵がレイアウトされている。
その美しさに見とれて、チケットを切ってもらうのを忘れて呼び止められちったい。でも、それくらい素晴らしい。

その大きな部屋の両側に、小部屋がいくつもあり、無造作に本当に無造作に、無数の名画が飾られている。
その一枚一枚が、普通の美術館ならば一つの部屋を占領するような目玉作品となるかもしれない。

クールベ、マネ、モロー、モネ、ミレー、コロー。ため息もの。


館内には遠足らしき子供たち(中学生か高校生くらい?)も群れをなしている。
後ろのほうは、寝っ転がって先生の説明を聞いているのが、ラテン気質なのか。

態度はたれていても、一応真面目には聞いているみたいだし。

しかし、いいなあ、フランスのお子様は。学生の頃からこういった絵画を遠足で見に来られて…。

カバネルの「ビーナス誕生」と
説明を聞いているお子様


ガラスの床の下にパリ市内のミニチュア

館内の構造はかなり複雑で、迷路のようになっている。で、恒例の道を聞かれイベントが…。アメリカ人らしい老婦人から呼び止められる。出口がわからなくなっているらしい。
それにしても、また今回も。街で必ず道を聞かれる性質ってどこから来るのだろう。

館内を見回ったところで、疲れもでて、館内のカフェで一休み。カフェクレーム(カフェ=オーレのこと)とフルーツタルト。ちょいと甘いが、疲れはとれる。

建物の上にでて、側のセーヌ川などをみつつカメラタイム。この日はお天気もかなり良好。セーヌ川にはたくさんの観光船がいったりきたりしている。日本もゴールデンウィークだけど、こっちも春の行楽シーズンということらしい。

このまま、オルセーには、閉館間際まで。
閉館時間の30分前から、退出を促す館内アナウンスがあるのだが、それも親切に日本語でも。まあ、閉館だからはやく去ね、ということ。あまり仕事熱心ではない監視員がこのときとばかりに追い立て始めるのが、印象的だった。早くおうちに帰りたいってところだね。

オルセー美術館が日本人好みの印象派がたくさんあるから、日本人観光客が一番たくさんいるかもしれない。

セーヌ川の岸辺をのぞむ。


最上階の時計を裏から見る。

夕飯は、午前中に見ておいたスーパーとその近くのパン屋さんでワイン等を買い込み。

パン屋さんはデリも兼ねていて、美味しそうなお総菜がいっぱい。しかし、これを小さなカップにつめてください、というのが、なかなかわからない。手振り身振り、英語と気合いとで、なんとか伝える。(後から分かるのだが、「ぷちばすけっと、しるぶぷれ」と言えばよいのだ。)

大きめのバックを持って、ロビーをそっと通るようにしているが、パンはやっぱり長いしなあ…と、いささか人目が気になる。といっても、部屋で食べる楽しさを知ると、高いばかりで気詰まりなレストランからは足が遠ざかるし。

この日買ったお総菜の「タブレ」を私は大変気に入る。「タブレ」というのはアラビア語でサラダの総称らしいが、フランスの場合、タブレオリエンタル(東洋風サラダ)、つまり北アフリカ特産のパスタ「クスクス」を野菜と混ぜたサラダのことを指し示すらしい。
「クスクス」は小麦粉をお米粒くらいの大きさに成形したパスタだ。最古のパスタといわれるもので、モロッコ料理などではよく使われる食材らしい。

時計を透かしてルーブル美術館が見える


アラブの影響の色濃いフランスではかなりよく食べられているらしい。特に自分でクスクスを買ってきてゆでて食べるのが、一番安上がりなのだそうだ。

私の知り合いのフランス料理シェフによれば、パリに修行にいったコックさんは大抵、このクスクスで生命をつなぐらしい。安上がりで栄養豊富な有り難い食べ物だそうで。

むちむちした食感と、トマトやレモンの酸っぱい風味がとてもよくあっている。(とはいえ、かなり人を選びそうな食べ物なので、嫌いな人は嫌いかもしれない。)

この日もワインでよい気分になったところで、すぐに寝てしまう。パリは夏時間のために、日暮れが遅く、8時代でもまだ明るい。だけど、時差ぼけもあって、夜に出かける気分が全然しない。

展示室。ゴッホがいっぱいあった。

その7へ続く