8.総統閣下とデート-スフォルツァ城- スフォルツァ城(Castello Sforzesco)
中世の要塞は現在の美術館に生まれ変わっていて、いろいろと面白そうなものもあります。レオナルド・ダヴィンチデザインの「アッセの間」。天井一面を植物の枝で覆ってます。フレスコなので、非常に劣化が激しいので、写真ではあまりに綺麗に見えないのですが、本物はかなりの迫力です。色が生きていた当時は、さぞ素晴らしいものであったでしょう。
そして、このスフォルツァ城にはとんでもない名作があります。ミケランジェロの最後にして未完の作品「ロンダーニのピエタ」。 ピエタ(Pieta)、死せるキリストを抱く悲しみの母マリア。古来から、絵画や彫刻のモチーフとして多用され、ミケランジェロ自身も4体ピエタを作っています。 バチカンやフィレンツェにある絢爛たるピエタと比較すると、未完に終わったこの作品は、静かで深い幽愁をたたえています。すでに光を失った状態で、ミケランジェロはどんなピエタを彫りだそうとしていたのか。キリストの足の、いまにも動き出しそうな完成度の高さ。未完に終わったが故に、石が生命を持とうとするときのメタモルフォシス(変容)の中途を示しているかのようで…。 しばし、言葉なくぼーっと見つめていました。
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