月曜日はエクスカーション

次の日、会議の正式のホスト、Buckel氏の夫人にエクスカーションに招待される。日本からの参加者が私を含めて3人、ドイツ系アメリカ人がひとり。Buckel夫人自らクルマを運転して連れていってくださる。)

マールブルグの近郊のリーンブルグ(Limburg)という街の教会は、ここら辺にきたら一番見逃してはいけないのだそうだ。

夫人は、快活で明るい感じのよいひとで、押しつけるような雰囲気がないのが素敵。

我々日本人3名の苗字をすべて暗記するのでたいへんだったらしい。(そりゃ、そうだろう、見たこともない「言葉」なのだし。)(特に私の苗字は日本人にさえ覚えにくい。)

西洋というのは「個」の識別を非常に大切にする文化だと、私は思う。だから、「名前」を覚えておくというのは大変重要なことなのだ。

儒教文化の日本は「組織」「関係性」の重要視か…。日本人だったら、3人の客の中で誰が一番重要人物であるか、誰が一番年上であるかを認識することを重要視するだろう。いい、悪いは別として。

ドイツの美しい街並み

この川がリーンブルグの交通の要衝だったらしい

頭の中で、そのようなことをぶつぶつと考えていたら…すでにクルマは出発。

いや、もう、高速道路を飛ばす飛ばす!最高速で時速150kmはゆうに超していたのではないだろか!…。平均でも120くらいはでてたゾ。

(まわりのクルマはそれ以上にスピードをだしていたので、ドイツではこれくらいが普通なのかもしれない。さすがはアウトバーンのお国柄?)

もうひとりの日本からの参加者の奥様は、自動車事故に遭ったばかりなので真剣に青ざめていた。気の毒だけど…高速道路の場合、相対速度というのも大事なので、ゆっくり走ってくれとは言いにくい。(でも言ってあげたほうがよかったのかもしれない。)

で、そのように飛ばした車で約2時間…。古い街道の街、リーンブルグ(こちらでの発音はリンボォとしか聞こえない。)に到着。木組みの家がつづく古くて美しい街である。

わざわざ、ガイドさんまでやとっていただいて、詳しい説明をうける。アメリカと比較するとヨーロッパの観光ガイドさんというのは、たいへん詳しく丁寧である。特にドイツ語圏のガイドさんは歴史的背景を詳細に説明してくださる。まるで、学校の歴史の授業を受けているような気分になるまで。

なにしろ、ドイツの木組みの家の構造を教えるために、わざわざ家具屋さんの地下まで、案内してもらったりする。急な螺旋階段を並んでおりて、黴くさい地下倉庫にまで入っていく。(働いているおじさんのヨコを通っていきましたヨ。(冷や汗)おじさん、あきれないでね。)

焼けやすい木造の家が焼けてもこの地下だけは焼けないらしく、大切なものはこの地下倉庫に保存するらしい。

ヨーロッパでアンティークが結構残っているのはこういった地下倉庫のおかげなのだそうだ。土蔵よりは確かに安心そうだ。(またワインの保管には最適なんだそうだ。)

ドイツ特有の木組みの家々

ビザンチン風の色鮮やかな教会

戦争中、教会のステンドグラスをこういった地下倉庫で保管したらしい。なるほど、きれいなものが残っている。

こういった説明を丁寧に聞くのは、本当は英語の勉強になるのだけど、だいたい2時間くらいでこちらのアタマが悲鳴を上げてくる。ヒアリング力ダメダメの私には結構ちかれるの(涙)。ちょっとでも集中力を失うと、それこそ何がなんだかわかんなくなる。はうう。

Limburgの教会は、ビザンチンの影響を受けたらしく、美しいオレンジ色に塗られた、非常に甘やかな感じの美しい建物である。外側がロマネスク、内側がゴシックというスタイルが混在しているのも面白い。

(ヨーロッパで教会を見るのにはこの教会建築の様式をしっかりと記憶しておく必要がある。柔らかなロマネスク、尖塔のゴシック

その後、ウェイブルグ(Weiburg)古城へと行く。(古城ツアーはヨーロッパの定番です。)

こちらのガイドさん(この城の専門ガイドさん)はドイツ語オンリー。従って単語のはしばししか解らない。しかし、真剣にヒアリングをする必要がないので、かえって楽。

この城の2階では、文化財保護のためか、靴の上から大きなスリッパを履かされる。ちょっとでも床から足が離れると、スリッパは脱げてしまうので、歩くというよりはこのスリッパで滑る感じで進んでいく。これを団体でやるんだから、廊下のある部分はぴかぴかに磨き上げられている。

なんというか、入場料を支払って、掃除をさせられている感じ。(ここらへん、結構ふりまわされて疲れ切っている)

ドイツのお城はバラエティに富んでいる

彫刻のある泉

古城のお庭のレストランで、食事。さーて困ったのがメニュー勿論、ドイツ語)。Buckel夫人が英語にトランスレートしてくれるのだが、次々に言われて、全然解らなくなる。「いや、ほんとなんでもいいっす」と言いたくなるが、この国(というか、西洋社会)ではそれは許されない。自分で決めなきゃなんないのだ。(えーん、ちかれるよー。)

こちらの秋の名物の茸と豚肉の煮たものを、やっとの思いで頼む。これが、たいへんに美味しい。付け合わせに、ポテトでつくった蒸しパンのようなものがでてきて、こちらが食べたことがあまりないようなお味で、美味。

私はパスしたけれど、食事の最後はアイスクリームで締めくくる。気候もよく、アイスクリームの季節なのだ。

このようにガーデンに面した場所での食事は、西洋社会では一般的で大変に優雅に見える。しかし、食べ物を食べていれば、虫さんや鳥さんも当然のことながら、分け前にありつきにくるのである。(これは私が頼んだ食物であると主張しても、彼らは一顧だにしない。

このときは大きな蜂が襲来。我々の食べ物を目指し、垂直離着陸を試みる。器用なもんである。(呑気にかまえている場合ではない。)

虫の嫌いなひとは、外での食事はやめておいたほうが無難かもしれない。

もう一度、時速150Kmで飛ばし(汗)、帰路へ。

蜂はいるけど、きれいなお庭でした

つづく