最初の休憩は、川のそばの発電所。

オークランド一日目。
この日は会議がないので、配偶者もいっしょに観光。短い旅行期間なんで、この1日は大切。
なので、ワイトモ・ケイブへのオプショナルツアーに参加して、効率よく回ることにする。ツアーは早朝から4時まで。お昼ご飯もついている。

ワイトモ・ケイブは土ボタル(glow worm)で有名な鍾乳洞である。オークランド近郊で、自然が楽しめるよいところ。

前日、偶然出会ったY先生(大御所)にその話しをしたところ、是非とも洞窟で光る土ボタルがみたい、ということになり、ごいっしょすることに。しかし、まだ発表の用意ができていないY先生。一体どうするのだろう?他人事ながら心配。


ツアーは日本人専用ということもあって、運転手兼ガイドさんは日本語がペラペラ。長い間日本に在住していたらしく、日本人の特性もよくわかっている。ただ、イギリス系らしく、一生懸命笑えないダジャレを言おうとするのは、キツイ。お願いだから運転に専念してほしい。

オークランドの都市部を一歩でれば、とたんに美しい田園風景が広がる。羊や山羊などの家畜もたくさん見られる。(オークランド近辺は畜産業はさかんではないらしいが…。)北海道と少し似ているかもしれない。もちろん、ニュージーランドのほうがはるかに平均気温が高いが…。

オークランドはガーデニング都市と呼ばれるほどに、あちこちに花が咲き、緑にあふれている。とはいえ、あまりにも心地よいドライブについついうとうと。あっという間に、ワイトモケイブである。


ワイトモケイブの入り口。



洞窟への入り口。
残念ながらここ以降は撮影禁止。
暗い洞窟内、写真のフラッシュは中の生態に致命的な影響を及ぼすらしいので、仕方がないところ。

早速、モリア坑道ならぬワイトモ洞窟へ。土ボタルが見られるのはワイトモだけではないが、ここの洞窟が一番有名らしく、大勢の観光客でにぎわっている。洞窟へは徒歩で降りていかねばならない。

大がかりな鍾乳洞だが、上のほうはちょっと乾き気味かな。それでも歩を進めていくと、段々に湿気が。複雑な鍾乳石で彩られた洞窟は、異世界の趣。水によって作られた天然のオブジェは、まるで大聖堂を彩る彫刻のよう。
洞窟内でコンサートや結婚式をすることもあるのだとか。だが、どっかの観光客の集団が突然コーラスを初めたのにはびっくり。土ボタルもびっくりすると思うんだけど。

鍾乳洞を一番深くまで降りたところでは、水がたまり水路となっている。ここで、観光客は小舟に乗りこみ、天井にたくさん生息する土ボタルを見る趣向だ。

滑るように進む小舟。土ボタルを驚かせないように、大声を出すことも禁じられている。そっと息を詰めて見上げる天井に、キラキラと天の川のような幾千もの青や緑の光。写真が撮れないのが本当に残念。だが、土ボタルはデリケートな生き物で、強い光にあえば光ることをやめてしまうので、仕方がないところだ。

土ボタル(glow worm)。名称こそ土ボタルとなっているが、これは実はホタルとは関係なく、ハエの一種の幼虫らしい。オセアニア全体に生息しているそう。(だからオーストラリアでも似たような土ボタルツアーがあるらしい。)

この土ボタル、エサとなる小虫をおびきよせるために光る。その光におびきよせられた小虫は、蜘蛛の糸を棒状にたばねたような巣に足をとられるという仕掛け。地上の星はかくも身もフタもなき生存の本能から光る。
しかし、小虫への誘惑のためとはいえ、洞窟で光る様はその微妙な明滅も手伝って、夢のように美しい。青と緑の中間くらいの色。
しかし、この美しい明滅を見つつ、同行の化学者連は、発光のメカニズムを考えるのに忙しい。「うーん、当然化学発光ですよねえ…。」「ルシフェリンですかねえ?」と、風情もなにもあったもんじゃねえ。
なお、発光のメカニズムは蛍とまったく同じ。ルシフェリンによる生物発光で、化学式はコレ。http://www.nkh.co.jp/support/popup/support3.html

それでも、自然の作り出す玄妙にうたれ、みんな大満足で洞窟を後に。


その3に続く