3日目

朝からモントレーという近郊の街に出かける。グレイハウンドを使ったツアーに参加したのだ。
日本語のテープによる説明つき。このテープが歴史、地理、地質学までわかりやすく説明してくれる。
効果音まで入って面白い。
200Kmもの道のりなのだが、変化にとんだ景色でもあり、まったく飽きさせない。

もっとも海はまるで日本海のように灰色でどんよりとしている。寒流のせいで、波も激しい。

それにしても霧がすごい。視界は真っ白なもやだけ。その視界が悪い中、バスはわりと急な坂を速度も落とさずに平気で走っていく。

時折、テープの交換のために、バスが止まるのはご愛敬。

 モントレーキャナリー

スタインベックの小説の舞台となった缶詰工場跡。

現在は観光用。

水族館入り口

水族館の入り口。シャチがお出迎え。

バスの中は冷房の効きすぎ。昨日に懲りて、かなり暖かい格好に切り替えたつもりなのだが、それでもやっぱり寒いのだ。
バスを降りると、さらに海風が冷たい。
いっしょのバスに乗っているインド人のグループなんて、真冬のような厚着だ。(南国から来ているからねえ。)

途中で休憩に立ち寄った喫茶店の暖かいカプチーノが有り難い。

モントレーはサンフランシスコから南、200kmに位置する半島にある。こじんまりとはした海辺街。

スタインベックの故郷。「キャナリーロー」という小説の舞台だそうだ。(いや、私もスタインベックは読んでないんだが。)

 

ケルプの森

美しいケルプの森

ここらの海には、ケルプと呼ばれる巨大な海草が海の中の森を形成している。そのおかげでたいへん豊かな生態系をもつ海になってるらしい。ケルプはたいへん生命力が強く、しかも1日に15cmくらい成長するのだそうだ。

私は3年前にこのケルプフォーレストのこの世の物ならぬ不思議な光景を、サンディエゴの水族館で見ることができた。

巨大でゆらゆらと揺れる不思議な海草の中を数々の種類の魚が泳ぎまわる様子は、異星の光景のように美しく、じっとみていても見飽きない。

それで、モントレーを訪れることがあったら是非とも、モントレー水族館に行きたいと思っていたのだ。

入館するやいなや、早速ケルプフォーレストを見に行く。

サンディエゴよりは、水槽自体が大きい。ただ、周りが少し明るすぎるので、サンディエゴのときほどには幻想的な雰囲気がでないのがちと残念。
とはいえ、迫力はばっちりで、じっと吸い込まれるように水槽を見いる。満足。満足。

水族館の中はそれぞれに工夫された展示物があり、楽しい。もともとはここも缶詰工場だったらしく、それが現在ではスタンフォード大学の海洋研究の施設として利用されるようになったのだそうだ。

外にでると、目の前にモントレー湾の光景が拡がる。上のほうに茶色くケルプフォーレストが頭をだしている。

アメリカでは博物館とか水族館などの公的機関のカフェは安くて美味しいので、時間の節約もかねて中で食事をとることにする。

レストランの入り口で待っていると、案内してくれるひとから、一番眺めのよい席を用意してあげるから、ちょっと待ってね、と言われる。たいそう愛想がよい。サンフランシスコ市内では見ることのできなかった笑顔である。

そこで通されたのは海が目の前で、ゴマフアザラシがいる岩場が見える上等な席。
観察するための望遠鏡まで貸してくれる親切設計

おいしくワインと食事とをいただきながらのこの贅沢である。(ちょっとだけ料理は日本人には量が多すぎで大味だったけど。この場合、味よりも眺め優先。)相変わらず、お昼からお腹一杯状態である。(ワインも飲んでいるし)

スタインベックの銅像なども一通り見た後は、バスに乗り込む、ツーリスト。

ちゅうたれ、ごぎげん

岩場ではアシカやオットセイが会議を開いている。

スタインベックの銅像

スタインベックの銅像とか

カフェカリッサス

小説にでてくる黄色いカフェ

一本松

ベブルビーチのシンボルマークの松。

登録商標なんで勝手に使えないらしい。

でもただの一本松にしかみえない。

さらにバスは17マイルドライブという海辺の道を通る。激しい波の太平洋を見ながらの美しいドライブウェイである。ここには、有名なゴルフ場ベブルビーチがある。

有名といっても、私はゴルフのことなんかよく知らないので、スーパーファミコンのゴルフゲームに「ベブルビーチの波濤」というのがあったのを覚えているだけだ。
タイガー=ウッズの名前の刻まれるプレートにほほうとか感心してみせるものの。(ぎりぎりタイガーウッズの名前くらいは知っている。)

カーメル。ここも小さいけれど上品な街である。
モールというよりはブティックの集合体みたいなところが、綺麗にならんでいる。
でもブティックはさすがにお高くて、こちらの手に届くような値段じゃない。(円もかなり安くなってしまったからねえ。)

さすがにここらへんになると疲れてきている。
お腹のほうも満杯で、コーヒーすら飲みたいと思わない。
というか時差ボケでひたすら眠く、バス出発までの1時間を持てあましてしまう。バスに乗り込むと後は意識なし。

起こされると、今度はガーリック専門店の前。多量のにんにくと農産物が売られている。日本の田舎にもよくある産直農産物売り場って感じ。キッチンのないホテルでは無理だけど、アーティチョークが食べたいな。

そこを出ると、あとはまっすぐサンフランシスコダウンタウンへ。
途中、サンノゼ(っても、どうもこちらではサンホセって発音しているように聞こえる。)のシリコンバレーあたり。知ってる名前のコンピュータ関連会社を見ては感慨。Adobeなんかもあったし。あのビルは私がソフトを買ったお金で建てたにちがいない!

カーメル

カーメルのモールでおすましあさたれ。

サンフランシスコに戻ると、各ホテルを回るので、自動的に夜のサンフランシスコの街めぐり。これはちょっと新鮮で楽しい。夕暮れの夜景もきれい。

最後に運転手さんにチップを渡して、さよなら。と思ったら、バス用のヘッドセットを持ったまま降りちゃったことに気付いて慌ててバスを止める。
スタッフのひとにも笑われる。

夕飯は、またまたサブウェイ。(疲れて、ちゃんとしたレストランには行きたくない)
でも、またまたホームレスさんも入ってくるし。夜にはあんまり出歩くもんじゃないねえ。

その3に続く