阿蘇、火山の山頂を目指すのだ。(でも、ロープウェイでね。)

明るくなってから、ジョンたちに電話でもう一つの露天大風呂にいくかどうかを尋ねる。これで、一応、天水のお風呂は全制覇できるから。二つ返事でOKがあり、お風呂へゴー。どうもジョーダンはお風呂が大変気に入ったようで、朝の4時から起きて部屋のお風呂に入ったんだそうだ。アダムのほうは、まだまだ温泉にはためらいがある様子。

朝霧の中、湯煙のたつ露天風呂で一服。ひらひらと舞い落ちる色づいた紅葉さえ、一幅の日本画の一部のような美しい光景を楽しみつつ。私はひとりで(風呂は貸し切りではないけれど、誰もいなかった。)和んでいたのだが…。一方配偶者のほうは、二度目のパブリックバスにはしゃぐお子様方といっしょに再び大騒ぎ。内風呂と露天ふたつと、最後にもう一度露天と…全部で3回も入るし。毎度毎度のジョーダンの柵越えもやったらしいし。

湯上がりで、すっかりお腹をすかせて、今度は朝食へ。えー、胃の調子のほうはすっかり全快の私。夕食を思わずたくさん食べたから、どうなるかと思ったんだけど、あの重い痛みはどこへやら。朝食もしっかり食べられそう(^^;;;;;。朝食を誘いにいくと、すでにジョーダンが我々を待っていた。ジョンとアダムはアダムの両親に電話をしにいったらしい。

天水の朝食を、旅館の朝食としてもハイパー豪華。サイトなどの説明には漬け物の食べ放題ということくらいしか書いてないが、朝から食べきれないくらいの量のおかずがでてくる。ふぐの一夜干しを自分で焼いたり、アツアツの湯気がたっている作りたての豆腐がでてきたり。とり放題も、漬け物だけではなく和風のおかずも並んでいる。配偶者は地鶏の玉子でご飯を食べていたが、とびっきりの美味しさだったそうで。ここはご飯が美味しいからと宣伝していた手前、面目を保つことができた。

お子様たちも昨日の夕食よりは箸がすすむらしく、順調に皿を平らげていっているようで、ひと安心。ジョンが小鉢の中の小ナスを「Oh!、ベイビーエッグプラント」と喜んで、ジョーダンに勧めている。うーん、優しいお父さんだ。普段ほとんど朝食を食べないらしいジョーダンが、小ナスを美味しそうに食べているのを見て「毎朝、ベイビーエッグプラントだったらオマエも朝食食べるのにね。」などと言っているし(^^;;;

まあ、朝風呂の後の旅館の朝食は美味しいと相場が決まっているので。いつもの通り配偶者は朝から3杯飯だし。ジョンもちょっとだけ恥ずかしそうに味噌汁とご飯のお代わりをしていた。もしかしたら、夕食よりも朝食のほうが好評だったんじゃないかと思うくらいに、みんなでしっかり平らげたのである。
出発までには、あと少し時間があるが、「もう一度、お風呂にはいろーよー」とせがむジョーダンにジョンは「ノーモア温泉」といっているし。いやあ、確かに入りすぎだと思うよ。

ジョンは庭の写真を撮りたがっていたが、結局どうなったことやら。とっちらかした荷物のパッキングに忙殺されたらしいし。


阿蘇の火口を前にして

気温が低いので、煙がすごい。

さて、温泉を後にして、「阿蘇」へ出発。阿蘇はわりと平原が多いので、テキサスと変わらないような気もしないでもないのだが、ジョンのリクエストだから仕方がない。外国人には、知る人ぞ知る観光地なんだそうだ。

レンタカー付属で慣れぬカーナビに阿蘇大観望のデータを打ち込み、いざ出発。実は先日このコースを阿蘇に行ったときもすべてカーナビだよりだったのである。方向音痴で名高い我々が、とにもかくにも天ヶ瀬から阿蘇までを車で行くためには、頼りになるヤツなのだ。カーナビさえあれば45分ほど。車一台しか通れないような狭い道も通るのだが、ただひたすらカーナビ様のご宣択に従い車を転がせばよいのである。ああ、便利

もう一つ、我々にとっては命綱のカーナビだが、後ろの外国人にとってはなかなか珍しい玩具。繰り返される「ミギデス」「ヒダリデス」は日本語の勉強にぴったり。アメリカのカーナビは喋らないんだろうか?もしくは、そんなに普及していないのか?後日、ネットで検索したところによれば、アメリカではカーナビはほとんど普及していないそうだ。まっすぐな一本道フリーウェイがほとんどのアメリカじゃあ、カーナビは切実には必要とされていないのかもしれない。おまけに喋る機種なんてほとんどなくて、矢印を指し示すタイプだけだとか、そりゃー日本の喋りまくるカーナビはびっくりするわね。コンピュータに頼らなければドライブひとつできない我々を、どう思ったやら。彼らにとって、異国日本はさぞかしSF的にうつるかもしれない。

さて、まずは阿蘇大観望に行き、大カルデラの全貌を眺める。まーここらへんについては、9月にレポしたこちらに詳しい。

次は草千里の側の阿蘇火山博物館に寄って昼ご飯を食べてからにしようかと思ったのだが、平地からも煙のでているのが見える火口に行きたくて仕方がないジョーダンとアダムのリクエストにより先に登ることに。車でもロープウェイでも行ける火口だが、当然のことながら「ロープウェイ」を選択。ただでさえこういった乗り物に乗ることが少ない彼らだから、好奇心で目をキラキラさせているのである。もっとも、ロープウェイの乗り場では、アイスクリームの自販機に貼り付いて、ジョンから叱られていたけれど。そんなに好きかアイスクリーム?



阿蘇博物館から見る阿蘇中岳の様子。手前は草千里。

火口は9月に行ったときよりもはるかに活動的。気温が低いせいかもしれないけれど、真っ白な煙を吐き上げ、火口表面に溜まった水を見ることができないくらい。風向きがよいので、火山性のガスはこちら側にはこないのが有り難い。ふと見ると、ジョーダンは火口の柵の上に乗っている。えー、もう、私真っ青なんですけどー(^^。下、火口だよ?ダイビングしても誰も助けないよ?ダース・ヴェイダーになっちゃうよ?

人の気も知らず、広い火口の遊歩道をどんどん進み、好奇心の赴くまま走り回る少年たち。でも残念だけど、風の流れは突然変わった。強い火山性のガスが襲ってくる。これはまじにのどが痛い。咳き込みながら、とにかくロープウェイの駅まで退避。やっぱり火山は侮ったらいけませんな。ぜんそくなど呼吸器系に疾患がある人だったらこの突然のガスだけでも、生命に関わりそうだ。従って、帰りのロープウェイも満員である。

ロープウェイを降りたところで、ちょうど次便を待っていた修学旅行とおぼしき中高生といっしょになってしまう。アイドルかなにかと間違えられたか、金髪美少年はキャーという女の子の歓声をあげられ、びびった様子。そりゃびっくりするわね。ほうほうのていで、車にもどり、阿蘇火山博物館へと退避することに。

少々遅くなった昼ご飯は、阿蘇火山博物館で。併設のカフェがあるので、そこで簡単なスナックでもということになる。アメリカ人は比較的昼ご飯は簡単にすませることが多いので、このほうがよさそう。カフェの前にでている看板には「ハンバーガー」が写真ででているので、アダムが目を輝かせて、「コレ、コレが食べたい」とうれしそうに言っている。ああ、可哀想に。やっぱアメリカの味が恋しいんだねえ。異国の食べ物に対する耐性は子供のほうが低い。食べ慣れないものばかりを食べさせられて、結構ストレスたまっちゃっているだろうなあ…。サーモンのサンドイッチとかきのこスパゲティなんかもあるので、ベジタリアンの皆様もなんとかOK。私は迷った挙げ句ホットドックを。すっかり胃のほうも大丈夫そうなので。

久しぶりのコークとハンバーガーだが…さて、アダムはちょっと浮かない顔。ごめんよーアダム。日本のハンバーガーはパテが紙のように薄くて、美味しくないんだよー。
私がたのんだホットドックはなかなかの味。ぷちぷちとした歯ごたえがあるタイプ。とはいえこれもアメリカ人が好きな味とは微妙に違うかもしれない。

腹ごしらえが済んだ後は火山博物館へ。展示には一応英語表示がついているので、ここは訳さなくてすむのでホッとする。日本語だって説明できないような火山関連の言葉を、英語じゃ無理だし。阿蘇の火口に設置されたカメラを自分たちで遠隔操作できるシステムは、お子様たちも喜んでいたし。

航空写真を地図にしたコーナーではみんなで昨日、今日の足取りを確認する。福岡から出発してぇ、温泉にいってぇ、阿蘇山にきてぇ。「で、今日も温泉に帰るんでしょ?」とジョーダン。さすがにそれは甘いです。今晩は福岡市内のビジネスホテル泊まりだよ。
15分間の阿蘇を題材にしたムービーも、火口付近を見た後だと、あー見た見たアレって感じで面白かった。このムービーは製作は東映で、ナレーションを多分キートン山田が担当していると思う。リモートコントロールの小さなグライダーにカメラを取り付けた航空写真で見る火口の真上からの写真は結構な迫力。でも東映なんだから阿蘇火口付近の採石場ではダイナマイト爆発シーンをひとつお願いしたいところ←をい

映画を見た後はそろそろ福岡への帰還を。ジョンたちは別の日本人といっしょに食事をする約束があるし、昨晩のことを考えても夕方になると眠くなるだろうから、そろそろ戻ったほうが賢明だ。阿蘇から福岡を1時間くらいと甘く見積もっていた配偶者は、カーナビをつけて愕然。熊本よりもさらに遠いから2時間くらいかかるんですな。ということで、夕方になってしまったことで、いささか急ぎながらの帰路に。

しかし、途中眠くなってしまう同乗者のために、サービスエリアでの休憩は欠かせない。サービスエリアでまたまたお菓子を買い込んだ後席。おかきをぼりぼりとかじりながらである。夕食入るんだろうか、と他人ごとながら心配するが、まあ、常に間食しているのもアメリカ人か…。大変ラッキーなことに、ひどい渋滞にもひっかからず無事福岡に帰還。めでたしめでたし、ということで。

終わり

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